理事長あいさつ
−メンタル・コミュニケーション・リサーチについて−


 私たちNPO法人メンタルコミュニケーションリサーチは、不登校・ひきこもり問題への効果的な援助を届けることを目標に組織された非営利の活動法人です。

 始めは一つの小さな支部から始まったこの団体も、今では4つの支部からなる比較的大きな団体へと成長することができました。設立当初は若島孔文先生(現・東北大学准教授)と、吉田克彦先生(現・星槎大学カウンセラー)のお二人が中心となり、この団体の礎を築きました。そこで確立されたのは、不登校・ひきこもり状態にある子どもや青年本人への訪問援助に加えて、家族への援助を並行して行っていくアプローチ方法でした。特に、システム理論・コミュニケーション理論に基づく家族療法によって、訪問援助をより効果的なものとしていくアプローチは、この団体を象徴するオリジナリティとなりました。

 私自身、当団体の設立当初より、訪問活動や事務運営に携わらせていただき、団体が成長・発展していく過程を身近に感じることができました。そして我々団体の発展は、援助している子どもさんや、ご家族の変化や成長と大いに重なるものでした。また、活動に携わるスタッフ自身も成長し、設立当初よりも幅広い相談に対応できる力がついてきたものと自負しております。設立当初は若いスタッフが中心でしたが、今では経験を積んだ臨床心理士が家族援助にあたるNPO法人として、他に類のない不登校・ひきこもり援助団体であると言えるでしょう。

 しかしながら、まだまだすべての相談に対して、100%満足のいく援助を提供できるわけではありません。時に、なかなか良い変化が生じずに、一進一退の中ご家族とやきもきする思いを共有することも決して少なくありません。このような援助者としての葛藤も、我々を活動に専念させる大いなる動機づけの一つとなります。「どのようにすればより効果的な援助を届けることができるか」。設立当初に掲げた目標を私たちはこれからも追い求めていきます。



2012年5月

NPO法人メンタル・コミュニケーション・リサーチ
理事長 博士(心理学)   齋藤 暢一朗